Dec.2, 2015
「文化」対「文明」という対置は、曖昧であり、多義的であり、各国語で異なり、deutsche Ideologieの手垢も付着していて、議論の中心に据えるのは危険であろうが、19世紀の英国、20世紀の米国を「文明の最先端」として捉え、それに対抗するvalue systemとして「文化」を理解する図式によって問題点が明確になる領域もある。明治国家はPerry来航より15年間に「文化」から「文明」に思考を転換させた少数者の嚮導した世界であり、その傲りが中朝「文化」に優越者として臨もうとする野心を起させた。しかし「文明」理解が科学技術に偏ったことから、やがて「文明の審判」を受けることになる。東京裁判の被告たちの獄中の読書が「東洋文化への回帰」という性格をもっているのも示唆的である。米国人はIslamとの対立をcivilizationsの対立として捉える。これはcultureに固有の位置づけを与えない米国的発想でもあるが、Islamがそもそも商人の宗教であることと関わるか。ナチがぶれ時代には「文明」の都市的性格に対抗する「文化」の農業的性格が強調された。「文明」には倫理の面と力の面とがあるが、力の面のみを吸収して西洋と闘おうとする試みが繰り返されている。Nazi、軍国日本、現代中国。Islamic Stateにもその性格がある(terroristsはそれなりに西洋文明の成果を利用している)。MacArthurによる「文明化」を日本人がどれだけ受け容れたか。これはBen Dasanなどの「日本人論」の問題とも関わる。関西人は東京を「文明」のcenter、関西を「文化」のcenterと見ているのではないか。
[新聞] Europeで二日に打ち上げる人工衛星、質量による時間・空間の波動を観測する(Reuters-Japan Times)。●かつて研究成果の捏造を批判された黄禹錫氏は天津で中国の研究者とともに人間のcloneに関わる研究を続けている(AFP-Japan Times)。●世界的な人口の老化で年金制度が共通の問題となっているが、sustainability(採算)とadequacy(生活可能性)の両面の均衡が問題(Japan Times)。●Clinton 55.8%、Sanders 30.2%。Clinton民主党上院議員46人中38人の支持を取り付けた(毎日)。●Brazilの7-9月GDP、前年比4.5%減(日経)●ロシア機撃墜、ロシアのKurd支援も関係(毎日)。●Lebanon政府とIS捕虜交換。Baghdadiの元妻を解放(毎日)。●Kurds支援、戦後への展望はどうか。Raqqaは元来Arabの町だが、Kurdsが支配を主張すると・・・とか(AFP-Japan Times)。●習近平のアフリカ訪問、非干渉政策を変更して軍事援助を始めた(AP-Japan Times)。●「立ち遅れていたTibetが文明的になった。天地がひっくり返ったような発展だ」(劉志強副主任)(毎日夕刊)[石原聖記者の記事。中国のTibet扼殺を3分の2くらい肯定するような印象を受ける。対中国防衛を麻痺させる毎日のcampaignと連動か]。●11月30日夜、大気汚染今季最悪(日経)。●香港の英字紙South China Morning Postに中国資本が買収を提案(毎日)。●Cyril Coppini氏、南仏・スイスを落語旅行(毎日)。●懐石料理、「温石(おんじゃく)」に由来。石を温めて布にくるみ、懐の暖をとったのが「温石」(毎日・余録)。●奥田務氏、1939年10月14日生れ。兄碩はトヨタ元社長。母方は百済からの渡来人の家系(日経・私の履歴書)。●水木しげる氏、「私は」と言わず「水木さんは」と言った(小松和彦氏)(日経)。●「仲畑川柳」「どれ見ても酒肴に向かぬ病院食」(小把瑠都)「自分でも作れそうだな赤い羽根」(山上秋恵)「口笛でそっと抜けだす娘に育ち」(志山克風)「早ようまくなって隣ノピアニスト」(カトンボ)「手のひらにスマホありそな仏さま」(柏原のミミ)「クラス会病気の次は墓のこと」(元池面)
Dec.3, 2015
昨日からSebald『日本占領外交の回想』(With MacArthur in Japan)読み始める。昔読んで、線なども引いてあるのに、全然覚えていない。Atchesonの後、後から赴任してきたようなimageだったが、終戦直後からAtchesonの下で「政治顧問団」に属していた。戦前から日本と縁があって、妻の父は英国人、母は日本人。日本語もmasterし、日本の法典翻訳などをしている。本格的な知日派である。記憶力の問題もあるが、ちゃんと読まなかったのだろう。対日理事会でソ連がしきりに占領批判を展開したが、Sebaldになってからは、毎度シベリア抑留問題を取り上げ、日本人の喝采を浴びたということだけは、その後のゼミなどで屡々触れてきたが。若い頃は本を斜めに読んで「読んだ」ことにする習性があり、段々精読派に移っていったということもあるようで、若い頃「読んだ」と思っている本が、実際はちゃんと読んでいないこともよくある。手遅れだが反省事項で、「読んだ」と思っている本を本当にちゃんと読んだのか、反省が必要だ。▼さらに調べると、Sebaldの妻Edithの父Joseph Ernest de Becker (1863-1929)は日本刑法典・商法典などの翻訳者で、長女がなんとWilloughbyの妻だ。Sebaldが諜報関係に関わったのはその関係であろう。Sebaldが日本民法典の翻訳をしているのはこの義父との関係であろう。Willoughbyの妻が日本人だったというのも(言われてみればどこかで読んだような気がするが)気付かなかった。知識の杜撰さだ。▼原節子さんと私の共通点:「毎日」と「日経」を隅から隅まで読んでいた(週刊新潮広告)。
[金正恩の叔母] 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)第1書記の叔母で、米国在住の高英淑(コ・ヨンスク、Ko Yong-Suk)氏が韓国で2日、脱北者3人を名誉毀損で訴えた。高氏は金第1書記の母親の妹で、1998年に夫と共に米国に亡命。金第1書記のスイス留学時代には、世話役を務めていた。高氏は90年代に北朝鮮から韓国に亡命した3人の脱北者が、自分や家族について繰り返し「うその情報を広めている」と主張している。特に2013~14年にかけてこの脱北者3人が韓国のテレビ番組で行った発言によって名誉を傷つけられたとして、計6000万ウォン(約630万円)の損害賠償を求めている。代理人として訴状を提出した韓国の首都ソウル(Seoul)の弁護士、康容碩(カン・ヨンソク、Kang Yong-Seok)氏によると、脱北者3人の発言には、金第1書記の父親の故金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の秘密資金を高氏が管理していたとするものや、1910~45年の日本の植民地支配時代の朝鮮半島で高氏の父親が日本の協力者だったというもの、高氏が米国亡命後に整形手術を受けたというものなどが含まれるという。(AFP-Japan Times)
[新聞] 洲本市淡路島モンキーセンターでサル文字。餌場の地面に「サル」と書き、その上に麦をまいた(毎日)。●Crimea:停電続き、ロシア併合を歓迎した幻滅(INYT)。
●顧みられない熱帯病、少なくとも10億人が感染、毎年50万人以上が死亡。最も多い土壌媒介性蠕虫症患者は19-22億が罹っているとも言われ、最貧困層の大変が罹っている(日経)。●環境条約起草過程における技術的・語学的問題の複雑微妙さ(AFP-Japan Times)[難しくてよく分らない]。●危機に立っているPakistanの仏教遺跡の保存を現地Hazara大学と協力して試みている野口淳氏(Kyodo-Japan Times)。●東大寺大仏の螺髪は奈良時代の造立時966個。現在もそうだとされてきたがlaser光による分析で492個と判明(毎日夕刊)。●「自由の女神像」のmodelはSuez運河の灯台に建てられたFranceの彫刻家Frédéric Auguste Balthldi作のveilを被ったArab人女性ではないか(AFP-Japan Times)。●一酸化炭素濃度と温暖化。宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』は冷害から農民を救うために、火山爆発を誘発し、一酸化濃度を高めようとする(毎日・余録)[本日記12/10]。●上海の出版社申報館の地図(1934年版)「尖閣諸島」と記してある(金子秀敏氏)(毎日)。●1日がRosa Parks逮捕から60年で記念行事(毎日)[Alabamaのbusで白人に席を譲らなかった]。●英国世論調査:Syria空爆支持59%、不支持20%(毎日)。●ISは同性愛者を屋根から突き落とす死刑のfilmを公開している(AP-Japan Times)。●「ここは米国でなくタイだ、王制は命より大事だ」(placard)。「必要ならば国を閉ざす」(Prayuth首相)(毎日)。●「長期的に有効な[Tibet]寺院管理systemを構築する」「[Dalai Lama]社会の安定を破壊する行為には法に従って打撃を加える」(習近平)(毎日夕刊)。●先月中に10隻以上の木造船が日本海側に流れ着いた。餓死・凍死等の死骸があり、北朝鮮からのものと見られる(AP, Reuters-Japan Times)。●米軍基地関連収入は終戦直後には県内総生産の約50%だったが、最近は約5%。沖縄は基地経済で成り立っているというのは完全な誤解だ(翁長知事意見陳述)(毎日)。●安倍2011年5月20日配信のメルマガで、菅直人首相の「3月12日の海水注入の指示」なるものは全くのでっち上げと指摘したことに対し、菅は名誉棄損として東京地裁に1100万円の損害賠償訴訟を起こしていたが、「記事の重要部分は真実」として菅敗訴(日経)。●「お化けにゃ学校も試験も何にもない」、水木しげるは子供たちにも愛された(INYT)。●渡辺、糸谷より竜王位を奪回(日経)。●貨幣博物館は日本橋三越の隣にある(毎日)。●「仲畑川柳」「きみに罪ないが御免とクモ叩く」(仲真平)「道を訊く誰かと話ししたくって」(荒川淳)「文句言う人がいるのが民主主義」(立地Z骨炎)「今見ると何か切ない割烹着」(新橋裏通り)「金貸して鬼にされ踏み倒される」(忠公)
屋根から突き落として殺した同性愛者に更に石を投げつけているDec.4, 2015
京都の研究会、その後徳島旅行。8日までには帰宅。▼研究会:Alistair Swale「文明開化と大衆メディア」、『東京絵入り新聞』の研究。Kevin Doak「田中耕太郎と南原繁」。田中が終戦前にはopinion leaderとして活躍したのに、現在(Catholic世界においてさえ)余り問題にされないのはなぜか。夜懇親会。
[新聞] 天理市渋谷向山古墳(景行天皇陵?)発掘現場公開。家などの形象埴輪・円筒埴輪等(日経夕刊)[巻向のすぐ北]。●東大寺大仏の螺髪(らほつ)966個と言われていたが、laser解析で492個と判明した(日経)。●証券会社を興した祖父、台湾銀行や朝鮮銀行などの株券が束になって置いてあった。台湾の株券の中央には台湾銀行が描かれていた。「紙くずになってしもうた」と嘆いていた(奥田務氏)(日経)。●ABC/Washibgton Post調査(11/16-19):Trump 32%、Carson 22%、Rubio 11%、Cruz 8%、Bush 6%。Quinnipiac大(11/23-30)Trump 27%、Rubio 17%、Carson 16%、Cruz 16%、Bush 6%日経)。●米国はトルコへの配慮からKurd系組織YPGへの武器供与を停止、YPGはロシアに武器援助を要請(毎日)。●PutinはErdoganとトルコ政府を「terroristの共謀者」と呼んだ(毎日)。●「冷戦時代トルコ共産党員と激論したが、会話は成立した。Islam過激派とは話が通じない」(トルコ外交官)「過激派が生れるのは匿名社会の都会であり、疎外の問題と関わる」(Algeria人journalist)(西川恵氏)(毎日)。●Saudiの地方議会選、候補者6917人のうち女性979人(毎日)。●2015年出生児名前男①大翔②悠真③蓮④陽太⑤湊、女①葵②陽菜③結衣④さくら⑤凛(毎日)。●「仲畑川柳」「戦争は八月だったの?孫が聞(訊)く」(田中勇司)「勉強会開くに派閥要るらしい」(宮田誠志)「お開きに気づかず蟹にまだ夢中」(よしのまち)「キティより年下だけど四十歳」(山上秋恵)
Dec.5, 2015
Harald Fuess、世界武器市場から見た幕末史。南北戦争で余った武器の流入、各国の武器商人、武器技術の教則な進歩。各藩の支払手段、等々。超面白く、議論殺到。英国から見ると、日本はインド・中国の下位分類の一項。中村尚史「日本鉄道業形成の国際的契機」、英国の独占が独米によって崩れ、日本でも入札制度の導入とともに各国の機関車が輸入される。▼京都から徳島への直通バス。到着すると喜多先生が「電話してくれ」と伝言あり。明朝ホテルにご来訪下さるよし。
[新聞] Da Vinci, Madonna dei Fusi(糸巻きの聖母)、赤外線調査で背景に素描があることが判明(毎日)。●1708年6月8日、Spain船San JoseがColombia隠岐で600人の乗船者とともに沈没した。11 million gold coins and jewels(単位が分らない)が積まれていたとされる。1982年米国のsalvage会社が、沈没船を発見したと発表、Colombia政府との間に訴訟になったりした(Nixon事件の時名前の出たJohn Ehrlichmanもsalvage会社への投資者の一人)。ところがこの5日、ColombiaのSantos大統領が、全然別の場所でSan Jose号を発見したと声明。本当なら100億㌦にもなるだろう(INYT)。●1926年10月30日から11月4日まで、Henry Stimsonが京都に滞在した。Otis Caryが都ホテルの宿泊名簿でこれを確認。これが京都を原爆から救う契機となった(Hiroaki Sato)(Japan Times)。●米国の武器業界、収益が急膨張している(Reuters-Japan Times)。●Pennsylvania州の鉄工所、中国の安い鋼鉄に競争できず、工員たちを罷免し、なお働こうとするのでlock outしている。労組員と非組合員が対立し、ピケを張ったりしている(INYT)。●Cuba難民は「共産主義から自由を求めて逃れてくる友人」として米国入国が他のHispanicsより優遇されてきたが、状況の変化で色々問題が起っている(INYT)。●SyriaでのISの石油、陸路でトルコに輸送しようとすると複数の勢力の支配地域を通る必要があり、トルコへの輸出は極めて少ない(米政府高官)(毎日夕刊)。●AddisababaのAfrican Union本部は中国が全額拠出して建設した(来日中のDebrersion副首相)(毎日夕刊)。●Nigeriaには廉く壊れやすい中国製品が満ち溢れていて、Nigeria人もどうすることもできない。中国の方も巨大な債権が貸し倒れになっている(INYT)。●Guineaの首都Konakry:60の若者が失業しており、結婚式のpresent用に汚い旧札を新品の新札に両替する商売が成り立っている(INYT)。●PutinのSyria介入が西側に有利だと思うのはwishful thinkingである。彼の意図はISとの戦闘ではなく、Assadの延命に過ぎない(Paul Roderik Gregory)(Japan Times)。●Parisのterrorを契機に、2008年のhotel襲撃事件に似た事件を想定してMumbaiで模擬演習が行なわれた(Reuters-Japan Times)。●Bangladeshの海岸の水位が上昇し、避難民が出ている。今世紀中には4.7億から7.6億人の人々がこうして住居を失うだろうと言う。Marshall諸島のLoeak大統領は、「現在ヨーロッパの難民問題など、気候変動の惹き起す事態に比べれば小さなものだ」と言っている。世銀の専門家によれば、65cm水位が上れば、同国の農地の40%は浸水する。同国政府は今のところ何の対策も持っていない。人々は隣国インドに殺到すると思われるが、インドも何の対策も立てていない。先進諸国も環境難民については、巴里会議でも立ち入らなかった(INYT)。●Tibet高原は1961-2014年に平均気温が10年ごとに0.31℃上昇した。過去30年で凍土が24万㎢、氷河が15%減少した(毎日夕刊)。●世界の指導者たちは中国の怒りを恐れてDalai Lamaに近寄らない。彼が死亡した後在中国の600万のTibet人に何が起るか不明である。中国は彼の死を待っている(INYT)。●CambodiaのHun Sen政権が野党の物理的弾圧に踏み切り、野党指導者Sam Rainsyは亡命した(INYT)。●鶴岡羽黒第四小学校に、40年間図書費として毎月数千円を送り続けた金野昭治氏(68)学校閉校で生徒たちと会う。寄付総額220万円(毎日夕刊)。●「仲畑川柳」「後継者居らず死ぬまで続く家事」(村上慶子)「母狂う別れが辛くないように」(お鶴)「習い事させるが躾しない親」(ぼうちゃん)●「徳島柳壇」「メールから絵文字が消えて恋終る」(小畑定弘)「喜んで納めてみたい美人税」(和田健史)「マイナンバーボタン一つで丸裸」(武田敏子)
Madonna dei Fesi4歳のDalai Lama
Dec.6, 2015
喜多先生に連れられ、お城の庭など。あと文化センターに移って「鳥居龍蔵記念館」。研究員の下田順一氏が詳細に解説して下さる。恐るべき行動力で、台湾高山族・苗族・契丹人・蒙古・満洲・朝鮮・アイヌ・千島・インカなどを調査。酒を飲まなかったのが長寿の秘訣か。昼食まで一緒。色々雑談。午後は美術館・博物館の後図書館で喜田貞吉関係の資料を読む。喜田と柳田の関係など。
徳島城庭園
[新聞] 宇宙誕生時に極小だった宇宙が一瞬のうちに急膨張するinflationの時に生じた「原始重力波」は今でも宇宙を漂っている(日経)。●キリシタン迫害でMacaoに逃れ、同地の教会に属した者もいた(津島佑子氏)(日経)。●塩釜の旧家で発見された絵、伊達政宗の直筆か(日経)。●自然科学で中国初のNobel賞。しかし西側の賞への不信感、女性への違和感で「沸き立って」いない(松沢哲郎氏)(日経)。●戦争直前、英国知日派は自らの限界を自覚していると誤解していた(Antony Best『大英帝国の親日派』)(毎日・読書欄)。●『福田徳三著作集』全20巻(信山社)(毎日・広告)。●「日経俳壇」「小春日や白寿の母の畑仕事」(神保友雄)「障子貼る媼八十路の刷毛さばき」(有岡恭助)「病床の妻に柿むく三時なり」(大島和夫)「すすきはら妻はやっぱり背が低い」(野上卓)「錫杖の音登り来る霧の中」(岡望)「古里の樺太の夢暖炉燃ゆ」(小池成功)●「日経歌壇」「われ隠す暗証番号もともとは発表されし子の受験番号」(南本禎亮)「国滅び山河失せても民族のルサンチマンは地下に流れる」(野上卓)「アイスティー薄くなるまでここにいてゆうべの夢の話でもして」「小学校の頃のハンカチこんなにもおもちゃみたいで涙も拭けない」(山上秋恵)●「仲畑川柳」「結婚が好きなんだねえ三回目」(寿々姫)「本当に怒ると妻は関西弁」(水野タケシ(相模原))●「サラ川」「気のせいか?夕飯豪華父夜勤」「独り身はお喋り家電に癒される」●「脳トレ」「若いねと言われて帽子脱り損ね」(酒怪人(78))「サザエさん誰も羨む不老不死」(健の日記(69))
Dec.7, 2015
早起きし、鳴門に電車。しかし月曜で大塚美術館など休み。運転手はドイツ館も休みだというのだが、ともかく傍まで行ってみると、すぐそばの賀川豊彦記念館は開館中、そこで聞くとドイツ館も開いている、と。両者を見る。賀川の行動力には感嘆。日本左翼運動史、Christian humanismの系譜も研究する必要がある。「ドイツ館」、陸軍軍人のドイツ崇拝が厚遇の背景にある。鳴門駅前に余りに何もないので(空いている喫茶店さえない)、徳島に戻って一休みし、洲本にバスで。安宿を探し、荷物を置いて、狭い町を端の方まで歩いてみる。夕食の料理屋、自衛隊員で横須賀に居たという男がいる。
早起きしてtaxiで城山の山頂近くに行き、城を見る。見張り以外にはあまり存在理由はなく、役所は麓の武家屋敷地域にあった。山を下り始めて道に迷い、「道なき道」に入り込み、木の葉で滑りやすく、上に戻ることも下に下ることもできなくなる。どうしようもなく、枝や根につかまりながらそろそろ下り、やっと道らしいところに出る。手に少し怪我。麓の文化史料館で映画から展示まで全部見る。上代史の展示、人形浄瑠璃、製陶業、幕末史、大正期に島を横断する鉄道を作るが、昭和41年自動車との競争に勝てず廃止となった次第。惜別の情の漂う映画。南画家直原玉青の作品展示。2:00発のバスで神戸に。久しぶりに神戸の街を歩こうかとも思うが、時間が中途半端なので新幹線。「悠」で夕食。江戸史の大家齊藤氏がきている。ひとしきり土産話。戻ってみるとお歳暮を色々戴いている。
洲本城
城からの展望直原玉青作品
[新聞] かつて狂言には大蔵・和泉・鷺という三流派があったが、鷺流は19代目宗家鷺権之丞の死(1895)とともに滅びた。ところが山口、佐賀、佐渡で日常の仕事をしながら、台本と所作を受け継いでいた人々がいた。1981年「佐渡鷺流狂言研究会」発足。江戸で学んで故郷で広めた人々のおかげ、と(北村和雄氏)(日経)。●日露戦争中漂着したロシア艦乗組員235人を漁民らが総出で救い、食物・衣服を提供した(玉木研二氏)(毎日)[海難救護に関する沿岸民の慣習法か]。●開戦直前の政府・大本営連絡会議「戦争終末促進ニ関スル腹案」、英国がドイツに屈服し、それで米国が戦意を失うという筋書き(毎日・余録)[森正蔵『旋風二十年』(p.210)に「開戦当初の予想」として言及されているものの出典はこれだった]。●米国は世界秩序の担い手として安保に対応するが、英国は経済的観点から安保を論じている(田中直毅氏)(毎日)。●米国武器製造業者大繁盛(Reuters-Japan Times)。●Venezuela選挙:定数167、野党連合99、与党(Maduro)46(毎日)。●2007年夏Salzburg音楽祭にいたMerkelのところに「IKB産業銀行の経営が危ない」との情報。「IKBって何ですか?」がMerkelの反応(日経)[IKB Deutsche Industriebank: 本部Düsseldorf、資産207億ユーロ]。●Africaでは収穫期に雨が降らず、Ethiopiaで800万人、Malawiで300万人が食料不足(毎日)。●来たる12日の首脳会談で、日印はAhmedabad-Mumbai間高速鉄道計画の採用で合意する(日経)。●インドでは2008年のMumbaiホテル襲撃事件が想起され、同様な事件を想定した演習(Reuters-Japan Times)。●8日Philippinesの大統領候補Elly Pamatongが中国国旗を焼いた(AP-Japan Times)。●1979年甘粛省の一部が内蒙古に割譲され、以後紛争が続いていた。6日午前三時額濟納旗役所が覆面をした100人以上の集団に襲撃され13人の負傷者が出た(AP, Reuters-Japan Times)。●およそ16億㌧ある世界の粗鋼生産の内、中国が半分を占める。今年は中国の鉄鋼産業の全体で1兆円の赤字を出すと見られている(柿木厚司氏)(日経)。●個別企業の投資判断にまで政府が介入するのは筋違いだ。石坂泰三や土光敏夫なら断って、政府の任務について諭したであろう(無垢氏)(大機小機)(日経)。●「国の収入支出は、すべて毎年会計検査院がこれを検査」しなければならない(憲法90条)。特定秘密保護法が設けた安全保障に関する例外につき、内閣官房が「秘密事項について会計検査院に提供を求められた場合、応じるように」という通達を発するという約束にも拘らず、一年経っても通達は出されていない(毎日)。●「原節子の墓は誰にも分らない。戒名だけ彫ってある(毎日夕刊)。●「仲畑川柳」「知っている味に例える知らぬ味」(日語教師)「娘の彼氏この部屋見たら腰抜かす」(東原佐津子)「四十になってなおさら惑ってる」(山上秋恵)「正式な病名がつきホッとする」(ひねのり)
鷺流狂言(佐渡)
中国旗を焼くPamatong
Dec.9, 2015
Kelsenの「実効性原則」は法実証主義の窮極的授権規範であり、これがすべての実定法の連続性を保障している。彼の言う「根本規範」は実効性原則の下位規範である。中国人はこれを「天命」と呼んだ。天命の革まる「革命」は実効性原則の下位規範であり、こうして人類法秩序は時間的にも空間的にも一つのものとなる。革命の要件となす天子の「徳」とは、実効性をもたらす物理力と心理力のうちの心理力か。実効的法秩序が存在しなくなるanarchyは、多様な部分法秩序に対する多元的授権状態であり、その極限は各個人への授権という状態であろう。▼T先生、宮沢俊義について講演を頼まれていたが、調べるうちにいよいよ否定的になり、講演を断った(他の主題に変えた)と。▼この欄にaccessできないというmailがある。できる人とできない人があるのか。Kさんなどは読んでくれているようだ。▼Sebald、行きの列車で読み終える。MacArthurの占領には基本的に肯定的だが、日本の伝統破壊のある部分については行き過ぎとみている。財界追放も。Stalinismについては「悪」という観方をしている。それにしても、表紙が「シーボルト」となっている。ドイツ語と同様、英語でも語尾のdは「トゥ」と発音するのか。私も一時期ゼミなどで「シーボルト」と呼んでいた。▼Hさんと渋谷で夕食。TちゃんまたLos Angeles行きと。
[新聞] Mona Lisaは三度に亘って書き直され、以前は別の女性の絵だった可能性があるという説(毎日)。●cyber attackで社会が終末論的破壊(cybergeddon)を受ける可能性についてTed Koppelが論じている。その根本的予防は不可能だろう(Robert Samuelson)(Japan Times)。●1939年、Nazi攻撃の危機の中で英国はKeep calm and carry on(冷静に着々と行動せよ)というsloganを掲げた。1970-80年代のEuropeはterrorismに取り巻かれていたが、このような精神で冷静さを失わなかった(Beppe Severgnini)(INYT)。●Bill O'Reilly & Martin Dugard, Killing Reaganという書物は、Reaganは着任早々の1981年三月の暗殺未遂事件ですっかり弱虫になってしまったと書いているが、彼の下で国務長官を務めた私から見て全く誤っている。殻は大きな改革を次々に企画し実行したし、ソ連との間で核軍縮協定を成立させた(George P.Schultz)(INYT)。●Kievを訪れたBiden副大統領は、「米国はSyriaに関してロシアと協力しても、Ukraineを犠牲にすることはない」と語った(INYT)。●Islamの予言書に北SyriaのDabiqとAmaqという町で「ローマ人」との間で終末の戦いがある、と。ISは米軍をDabiqでの地上戦闘に誘い込んで終末に導こうとしている。ISは「Dabiq」という題のonline magazineを発行しており、青年たちに「最後の戦い」への参加を呼び掛けている(INYT)。●ISは米国にとって(時々不幸な米国人が殺される以上には)大して脅威ではない。ISは周囲が敵だらけで、わざわざ遠い米国に戦争をしかける余裕はないだろう。米国が撤兵すれば、尚早の感があったObamaのNobel平和賞も多少は輝きを回復するだろう(Doug Bandow)(Japan Times)。●Trumpは「すべてのIslam教徒の入国を阻止せよ」と主張した(INYT)。●ISを理解するのに有益なのは、Eric Hoffer, The True Believer, 1951のpractical organizationsとmass movementsの区別である。後者がfrustrationから狂信的集団行動を生み出すのだ(David Brooks)(INYT)。●温暖化による祁連山脈の氷河の融解はアジアの水資源の枯渇を招く可能性がある(INYT)。●奥田務氏、慶應の学生時代Kelsenを読んだ、と(日経・私の履歴書)[恐らく鵜飼訳『法と国家』だろう]。●「仲畑川柳」「昼寝して宇宙のかなた行ってきた」(阿Q)[遊んでた父ほど娘心配し」(立地Z骨炎)「獅子舞の口が開いたら目が合った」(荻笑)「句の意味が分からぬ時に妻が要る」(萬野肉球)
Dec.10, 2015
『毎日』「余禄」(12/3)が大気中二酸化炭素濃度と地球温暖化の問題に関連して、宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』に言及している。ブドリは冷害対策として火山爆発を誘発し、炭素濃度を高め、気温を上昇させることを考えた。彼はその爆発で、殉じて死ぬ。賢治はSvante Arrhenius(1859-1927)の業績からhintを得たのではないか、と。農学者賢治の自画像。▼朝の寝床で:マルクス経済学者杉浦克己氏は、最晩年Hayekの自生的秩序思想の刺激から、現象学的な「かたち論」というものを展開した。あの着想は彼の死とともに消失したか。何か再生させ得るものを含んでいるか、と考えてみる。▼昨日林健太郎『昭和史と私』半分くらい読む。Marxに感心し、感激して夢中になるが、徐々に誤謬に気付いて離れていくのは、健全な知性の経路である。愚者のみがStalinismの最悪の部分にまで追随した。林先生ご本人のみならず、登場人物が直接間接に知っている人ばかり(夜22時過ぎ読了)。▼近隣のQ夫人、くも膜出血で倒れたが、奇跡的軽症で退院(脳膜炎は聞き違い)。近隣のS家、家を売りに出しているが、売れず、更に300万円値下げして折り込み広告に出した、と。▼物を捨てない悪い習慣からボロボロのものが色々。辞書類、ワイシャツ・・・。「この齢になって新品を買っても、そう長くは使わないのだから」。▼丸善で来年のcalendar買う。例年通りE子さんへのHundertwasser等。
[新聞] Kamiokandeは巨大水槽に光censorを取り付けた装置で、陽子崩壊という別の現象を捉える計画だったが、大気neutrinoは陽子崩壊発見の妨げになる。梶田氏はそれを除くprogramを改良した。その過程でないと思われていたneutrinoに質量があることを突き止めた。戸塚洋二先生と一緒に受賞出来たらよかった(日経)[私が図書関係の委員長だったとき戸塚氏が委員だった。助教授かと思うほどの若々しさだったが]。●京都賞Michel Mayor氏、1995年、Pegasus座方向の太陽系外惑星51 Pegasiを巡る51 Pegasi bを発見した(毎日)。●「あかつき」金星軌道に入る(毎日)。●「霾」(まい)は甲骨文字にもみられる。砂ぼこりによる大気の濁り、「つちふる」という訓読みがある(毎日・余録)。●日本株の主要な買い手Saudi系が資金を引き揚げている。時価で3分の1に減少。原油安が影響(日経)。●台湾(国民政府)国防研究院「中華民国地図集」南沙「太平島(長島)」と日本領時代の名称を併記(金子秀敏氏)(毎日)。●米銃器maker Smith & Wessonの株価、8年ぶりの高値(毎日)。●テロの標的となったcaféは市民的公共性、concertやsoccer場は大衆的公共性の象徴である(佐藤卓己氏)(毎日)。●習近平の言う「中華民族の夢」とは「漢民族の夢」である(丹羽宇一郎氏)(毎日)。●東大助教授林周二氏『流通革命』に心酔して流通業界に入った者は多い。私もその一人(奥田務氏)(日経)。●「仲畑川柳」「どう見てもウチナンチュウをいじめてる」(雀の子)「一億人総白痴化だった頃もあり」(江守正)
「あかつき」の撮影した金星
Dec.11, 2015
戦勝者の戦敗者に対してとる態度の類型。その中に各国の対日政策を位置づける。Babylon対Jerusalem、Melos島、Sparta対Athens、Rome対Carthage、Napoleon、Preussen、英国、南北戦争、War I、Nazi、Stalin、古代中国、三国志、蒙古、太平天国、壬申の乱、源平、信長・秀吉・家康、明治維新、日清・日露、日中戦争、・・・例が多すぎて・・・。
[新聞] 「物質と反物質は、出会うと光に変って消滅する。宇宙が誕生した直後は、物質と反物質の数は同じだったが、そのbalanceが10億分の1だけ崩れた。その結果、雨中は空っぽにならず、我々が存在している」(村山斉氏)(毎日)。●機嫌と寿命は関係ない。英国の研究によれば、いつも不機嫌な人間も結構長生きである(INYT)。●Ottoman帝国のSuleiman皇帝(1494-1566)の墓地がHungary南部、Croatia国境で発見されたか(AFP-Japan Times)。●『楼門五三桐』、石川五右衛門は秀吉の朝鮮侵攻・大仏建立の浪費を面罵。「お前の方が大盗賊だ」と(松井今朝子氏)(日経夕刊)。●CruzやBushはSyriaのChristiansのみの入国を認めよ主張している(INYT)。●Rooseveltが罪のない日本人の抑留を命じ、最高裁がKorematsu v.United Statesでその合法性を認めたため、TrumpのIslam教徒排斥論もまんざら合法性がない訳ではない(Ted Rall)(Japan Times)。●国連拷問禁止委員会は中国の拷問、特にTibet人等の対する残虐な拷問が続いていることを非難した(INYT)。●Marine Le PenのFront Nationalの極右政権成立を阻止できるかはHollandeの社会党とSarkozyの共和党の連立が可能かにかかっているが、現在のところSarkozyは「連立しない」と言っている(Japan Times)。●英国でTrumpの入国を禁止させる署名運動に36万人分が集った(INYT)。●MacedoniaがSyria人、Iraq人、Afghan人難民以外に対し国境を閉鎖し、ギリシャとの国境の野天に数千人の難民が滞留している(INYT)。●ISはWahhabismの一派であり、WahhabismはSaudiなど湾岸王権の正統派である。その王権はte人rroristsに財政援助を続けている。王権と絶縁しない限りterrorismは終らない(Brahma Chaellaney)(Japan Times)。●IS支配地域からの難民の入国を拒否することは、ISから迫害された彼らを二重に罰することになる(INYT)。●IraqのKurd勢力、石油価格下落による財政難、peshmergaや公務員給与の遅配欠配、PUK(Patriotic Union of Kurdistan)とKDP(Kurdistan Democratic Party)の内紛など、困難も多く、南方の非Kurd地域のどこまで進軍するかという問題もある(Bloomberg-Japan Times)。●IraqのRamadi奪還を助けるため、米国はhelicopterを派遣しようとしている(INYT)。●中国は「安保理は人権問題を取り上げる場でない」と主張した(毎日夕刊)。●大村氏の受賞は全国の大学に「エールを送っている」(藤井清孝氏)(毎日)[「エール」って何だ?yellなら「イェル」だろう]。●「今世界で起きているのは文明間の衝突でなく、文明と野蛮性の衝突である」(Jacques Attali)(毎日)[そう割り切れれば簡単だが]。●「仲畑川柳」「大臣になると献金よく返す」(湯の華)「中国製期待通りの壊れ方」(でんさく)
Dec.12, 2015
午前、お歳暮送り、賀状印刷(310通)。遠藤誉『毛沢東』、勝木書店で注文。▼Japan Timesが「慰安婦」問題を扱ったMcGraw-Hill社の教科書記述をめぐる論議を扱っている。吉見義明・山下英次・Alexis Duddenなど、議論の主役たちの名を知ることができる。「戦末に証拠隠蔽のため多数の慰安婦を殺戮した」とは事実でないと思うが、誇張を咎めることをもって根本的反論に代えることはできないだろう。
[新聞] 『源氏』に描かれる女性たちの様々な運命、紫式部の「己の実人生とは別の人生を創造する文学とたたかい」としての意味があった(秋山虔先生)(日経夕刊)。●「芹沢光治良戦中戦後日記」(勉誠出版)「山崎豊子Special Guidebook」の日記(新潮社)(日経)。●大正から昭和初期に多摩に続々と軍事施設が設けられた。日立航空機立川工場、陸軍登戸研究所、浅川地下壕など(日経夕刊)。●「まあ勝手にやるがいいさ。痛い目に遭わなきゃわからんのだろう」(永井荷風など戦中知識人)(保阪正康氏))(毎日)。●米国で「反Islamの嵐」、Mosqueに銃弾など(毎日夕刊)。●Salah Abdeslam等の数カ月に亘る爆破準備の追跡。仲間にはやくざ・麻薬犯・詐欺・窃盗などpetty criminalも少なくない(AP-Japan Times)。●Libya統一政府樹立に向けた関係国高官会議が13日ローマで開催され、Kerry国務長官も出席する(日経)。●ISは5億㌦分の石油を輸出し、その多くはAssad政権、それにKurds、トルコに売られている(Reuters, AFP-Japan Times)。●香港の英字紙South China Morning Postを中国企業Ali Babaが買収し、報道の自由への影響が危惧されている(日経)。●東京近郊で狸が出没、放し飼いの犬がいなくなったため(日経夕刊)。●「仲畑川柳「つながれることで死ぬまで食える犬」(よねづ徹夜)「燈明はLCDで経CD」(田中勇司)「失業を猫にうすうす感づかれ」(伊藤昌之)
Dec.13, 2015
「マルクス主義と憲法」という章を設ける。「規範の存在論的status」「人類解放」「歴史発展段階説」「ソ連憲法」「日本マルクス主義」(戦前・戦後)「長谷川正安」「全共闘」等々いろいろ主題がある。本格的に書くか、戯画的に書くかという問題もある。戦後日本マルクス主義は戯画にならざるを得ないが、戯画は気の利いた面白いものでなければならない。先例としては、『Kelsen著作集』「Marxism批判」の「あとがき」がある。例の出隆と柳田謙十郎の文章をもう一度引用するか。●戸塚地区センターで「一日本兵が撮った日中戦争」見る。村瀬守保氏は2年半中国各地を転戦、部隊のカメラマン的存在だった。
[新聞] 1976年、石橋克彦東大理学部助手の唱えた「駿河台地震説」、それに応じて対策がとられたが、40年経っても起っていない。ご本人は「今でも起きないとは断言できない」と(日経)。●日本はMadagaskarとBorneoに並ぶ生物多様性hot spotである(松沢哲郎氏)(日経)。●南アとNamibiaにしか棲息しないアフリカpenguinが激減している。理由はまだよく分らない(Japan Times)。●「兵力の後援なき外交は如何なる正理に根拠するも、その終極に至りて失敗を免れざることあり」(陸奥宗光)(日経)。●日本政治研究者Gerald Curtis: 「Reischauerのような大柄の人物は日本の政治家に尊敬はされるが親しまれない。私は背が低いから」(Japan Times)。●Mitch McConnell上院議員ら共和党主流派は、問題発言を繰り返すTrumpではClintonに勝てないという判断で、再投票でTrumpを落選させるscenarioを描いている(日経)。●ItalyはLibya問題の国際会議をローマで開催する。TripoliとTobrukの両政権を統合し、Sirteを拠点とするIS勢力の抑制を意図する(毎日)。●IraqはMosul地区にトルコ軍がIraqの同意を得ずに駐留していることに抗議し、即時退去を要求した。トルコとKurdsとが結ぶことを警戒しているか(毎日)。●Ahmedabad-Mumbai間高速鉄道計画:「中国より40%高だが、日印関係の多様な価値を考慮した」(インド政府高官)。等距離外交の転換である(日経)。財政負担に加え、在来線でも遅延・事故が多発しており、「先にやるべきことがある」との声がある(毎日)。●中国は「反テロ」を口実Uighur族に対する暴力をescalateさせている。「新疆日報」元編集長趙新尉が11月初め、民族政策への異論を公言したという理由で党から除名された。高圧的民族政策への不信が内部にも起っているか(日経)。●復星企業集団経営者、billionaireの郭広昌が行方不明(失連)になっている(Bloomberg-Japan Times)。●台湾陳威仁内政部長は12日南沙の太平島を訪問した(日経)。●北朝鮮の女性音楽グループ、牡丹峰(モランボン)楽団の中国公演が土壇場で中止になった(毎日)。●軽減税率:「公明党の選挙協力を目当てに結論ありきだった。乱暴な決着だったと言わざるを得ない」(柳沢伯夫氏)(日経)。●「爆買い」の中国人で旅館は満員、買ってきた荷物で部屋も廊下も大混乱(Mark Schreiber)(Japan Times)。●「日経俳壇」「柿干すと皮むく妻のしづかなり」(山田正雄)「秋晴れや棺の妻は晴おんな」(波多野重雄)「これ程に訛る神とは里神楽」(小林恕水)「温め酒妻に注がれて妻に注ぎ」(妙中正)「また一人報はれず逝く夜の秋」(村上かつこ)●「日経歌壇」「君もつひに六十八か引退かと世間騒ぐぞ頑張れ〈憲法〉」(大建雄志郎)「姿なき奴の足音ひたひたとひたひたひたと老いの夜床に」(神郡貢)「都会から眩しいひかり身に纏ひ皆ふるさとに帰る今年も」(吉岡健児)「国鉄がJRになり故郷の駅はたちまち無人駅となりぬ」(飯村哲)「看護師に呼ばれる前に一首詠み採血中に推敲済ます」(鉄本正信)「げんきだと母に今夜も嘘メール送った後は重い孤独感」(峠谷清広)「歌を詠む喜寿の私は百坪の開墾もして楽しく生きる」(岩城英雄)●「仲畑川柳」「顔を見た後に言われた手がきれい」(のびた)「平和には武器が要る派と要らない派」(立地Z骨炎)「どっちなの臨機応変初志貫徹」(舞蹴釈尊)「脱帽す女子高生の冬のミニ」(かうぞう)「あの世ってかなり混んでるはずだけど」(ひろちゃん)「そばに人いるね行儀のいい電話」(さくらの妻)「男物干して無料のセキュリティー」(麻子)「サスペンス優しい人が悪い人」(背黄青鸚哥)「掃く前に跨ってみる竹ぼうき」(荒川淳)「遺言に戦争行くなと書いておく」(中林照明)「パパよりもママが大きい子供の絵」(麦そよぐ)●「脳トレ」「味うすい百まで生かすつもりだな」(四元勝治(79))「『尿意・鈍』老人会の運動会」(別人28号(68))「今朝もまたおんなじ角に足ぶつけ」(島田正美(66))「補聴器が耳栓になる電池切れ」(和川清水(80))「うたたねはとても元気になる薬」(田島さきよ(73))「あればなあすぐ空く席が判る術」(健忘主(72))
[読書欄] 徳永恂『絢爛たる悲惨―ドイツ・ユダヤ思想の光と影』(三浦雅士)[徳永氏が「熊本バンド」の一員で、徳富蘇峰・蘆花はいとこ]★石井光太『浮浪児1945』(瀬谷ルミ子)★「防衛協力のための指針」など、日本政府は作為的翻訳で米軍の役割を実態以上に大きく見せている(春名幹男『仮面の日米同盟』(日経)。●上野千鶴子『おひとりさまの最期』:2015年統計の65歳以上、夫婦のみ33%、一人暮し32%。夫婦も一方が死亡すれば一人だから、大半の人は「おひとりさま」で最期を迎える。政府は入院抑制政策。一人で自宅で死ぬ覚悟の必要(日経)。●(今年の三冊)Hobbes, Behemoth(山田園子訳)(鹿島茂)足立巻一『やちまた』(本居春庭論)(荒川洋治)奈良岡聡智『対支二十一箇条』(五百旗頭真)塩出浩之『越境者の政治史』(岩間陽子)●Geling Yan, Little Aunt Crane[小姨多鶴]。1945年の満洲。家族が死滅し、天涯孤独となった日本人少女「つる」は、人買いに売られ、夫、不妊の妻の家庭で三人の子を産む。表向きの母は妻で、彼女は奇妙なありようで生き、二人の「妻」が協力して文革期の混乱を乗り切る。著者(嚴歌苓(1958-))は中国系米国人、長野で引揚者たちとinterviewするが、沖縄戦を体験した女性たちとのinterviewで、自分を「死んだもの」として生き続けている女性たちを見て、この着想を得た、と(Japan Times)。●Robert Thomas Tierney, Monster of the Twentieth Century: Kotoku Shusui and Japan's First Anti-imperialist Movement(Japan Times)。
Dec.14, 2015
討ち入りの日。▼「何故筆が進まないか」の弁解だが、古書店によっては「何れ読もう」と本を買っておく習慣。執筆開始に当って本棚を見ると、そうした本が次々に見つかり、まず読むということになる。原稿に手を付けようとするが、筆が進まない。石垣綾子氏の『戦後日記』少し読む。New Yorkの中共政権支持の左翼知識人世界。Pearl Buckとか、Gunther Steinとか。ユダヤ人らしい名前の人物が続々登場。「アメリカ論」の一環に「アメリカ左翼論」もある。今でも米国では大学の書店で『Lenin全集』など売っているか。帰国したいがvisaが出ない。食事のことを「めし」と言い、映画のことを「活動」と言う。大正期の「モダンガール」だが、文体は古く、男みたいなところがある。▼「高萩」で夕食。熊本出身のA氏、故郷の西本願寺派仏壇の思い出など。「齢をとると昔のことばかり思い出して」というが、10歳年下の67歳。「人吉に行きたいと思っている」と言うと、「とってもいいところだ、ぜひ行きなさい」と。
[新聞] 放送作家栗岩太郎氏はお岩さんの子孫。鶴屋南北は「四谷怪談」を「忠臣蔵」外伝として描いた。伊右衛門は赤穂浪士の落ちこぼれ、と(牧太郎氏)(毎日夕刊)。●「絶滅危惧種と化せし自民リベラル孤軍奮闘の君に救わる」は、真田幸村の故地上田出身の井出正一氏、「君」は自民党内で安保法案に反対した村上誠一郎氏と(毎日夕刊)。●France: 社会党が二州で出馬をとりやめたため、FNのすべての州議会での第一党化が阻止された(毎日夕刊)。●Libya国際会議、Tripoli政権とTobrk政権の統一を全面支持、IS掃討への協力約束(毎日夕刊)。●Saudi選挙、女性候補13日までに少なくとも20人が当選(毎日夕刊)。
Dec.15, 2015
訃報が色々届く。飯田彬氏とは教授会でよく隣となった。「英国などヨーロッパでは・・・」と言ったら、「英国はヨーロッパなんですかね」と言う。フランス滞在が長く、英国よそ者感を承継していた。私より一歳年下か?
[Weimar America] 人々は「いつもの政治」(politics as usual)に飽き、露骨な物言いを求めている。失敗に怒った国民は極端を欲し、復讐を求める。異分子を排除し、偉大な祖国を再建するstrongmanを求める。Trump「我々はこんな卑賤な国民となってしまった」(喝采)「完全・完璧なMuslimsの入国拒否!」(喝采)「必要なのは力だ」(喝采)。Trumpは道化師か。否、彼は本気だ。彼を本気で受け取らないのは間違いだ。米国の国力は衰え、中国は興隆した。AfghanistanもIraqも「光栄ある祖国」の墓場だ。Californiaの殺戮は「内なる敵」への恐怖をを巻き起こしている。10年以上に亘って米国は血を流し、富を費やした。全く無駄に・・・。Obamaのterrorismとの戦いは無駄骨に終っている。そこへTrumpが登場した。彼は政治における「良識のtaboo」(political correctness)を踏みにじり、口汚い言葉でMuslimsもMexicansも身体障害者も女性も罵倒した。人々が密かに語ったことを大声で叫んだ。彼を本気で問題にしないのは、間違いであり危険である。AmericaのWeimar化だ。FranceのLe Penは本気で問題にされ、重要な大統領候補となっている。「Islam原理主義を叩き潰せ」(喝采)「Islam組織を禁止せよ」(喝采)「この国に憎悪を振りまく外国人を追放せよ。ここで無為に日を過ごす違法移民を追放せよ」(喝采)。戦後西欧は平和・融合・経済統合・福祉国家がFascism復活への防壁になるという信念を基礎としてきた。その信念が動揺し、恐怖の政治(politics of fear)が勃興している。かつてFascistが興ったように、Trumpが登場した。Weimarドイツは大声で叫ぶ道化師によって滅ぼされた。彼は政治でなく、演技と行進で、Beethovenの国民を誘惑し、それと心中した(Roger Cohen)(INYT)。
[自民党税調] 税調はかつて聖域視されていた。有権者に耳の痛い増税を決めたことで権威を保った。山中貞則は時の首相に公然と「ノー」と言えた。10月初旬、安倍は軽減税率導入に消極的な野田毅会長に電話で罷免を通告。その路線の全否定。後任宮沢はなし崩し的に譲歩案を示し、公明に拒否される悪循環。宮沢が公明を説得できず、協議は幹事長会談に委ねられる。税調は蚊帳の外に置かれた(日経)。
[安倍・菅・谷垣] 11/17 安倍、谷垣に「幹事長間で協議を進めて欲しい。無い袖は振れない」。谷垣、党三役・税調幹部に「4000億円に収める」。4000万円という数字を「基本的に首相もそういう考え方だと思う」。菅「首相は4000万円と言っていない」。安倍・谷垣会談に財務相幹部が同席したことにつき、首相秘書官を呼びつけ「なんで財務官僚を同席させている」と怒鳴った。11/26菅、政府高官に「8000億くらい何とかなるだろう。今は連立政権の正念場だ」。田中一穂財務次官に「できないなら4月の消費増税は先送りだ」。高村副総裁、菅に「あなたは仕掛け人になるのではなく、まとめ役になるべきだ」。菅、創価学会説得は「できません」。夕刻田中財務次官・佐藤慎一主税局長を呼び出し、「何度も言わせるな。財源を探すのが財務相の仕事だ」「もうお前は手を出すな。これは政局なんだ。帰れ」。麻生財務相「菅は明らかに官房長官としての『のり』を超えたな」。民主党「一兆円という規模の大きさ。財源がはっきりしないという無責任さ」「社会保障の充実が図られないなら、三党合意に縛られることはない。増税は無期凍結すべきだ」(日経)。
[ネトウヨ] 上野千鶴子氏「『ネトウヨ』とは何者か?」(毎日夕刊)は面白い。基本文献川上量生『鈴木さんにも分かるネットの未来』、伊藤昌亮『ネット右翼とは何か』、古谷経衡『ネット右翼の終わり』。「正義を掲げるマスコミを『マスゴミ』として毛嫌いする」とか、「前期ネット右翼」から「後期ネット右翼」への移行とか、保守論壇の影響下にある「広義のネット右翼」とか、定義やら分類やら歴史やら、一応研究領域として成立しているか。「活字右翼」が活字文化の中で少数派なので、捌け口となっているか。
[新聞] 富山市小竹古墳(6000年前)からエゴマ[荏胡麻]の実の跡が526個確認された。栽培されていたか(日経夕刊)。●伝岩佐又兵衛「豊国祭礼図屏風」(日経)。●「四谷怪談」は「仮名手本忠臣蔵」の裏話で、お岩や伊右衛門は「義士」の側だった、と(日経夕刊)。●COP21: 「Obamaは守れない約束をした。shredder行きだろう」(Mitch Mcconnell上院議員)(日経)。●Bard大学は受刑者向け大学教育program(BPI=Bard Prison Initiative)を開いている。費用は民間の寄付。一般学生と同じ内容の授業を無償で提供している。9月に「不法滞在生徒の入学を拒否できるか」という主題の討論会を、New York東部の刑務所内で、BPI参加者teamとHarvard大学teamの間で開き、受刑者teamが勝利した(毎日)。●黒人の大学として伝統のあるWashington D.C.のHoward Universityは1980年からテレビ放送を行なっていたが、財政事情などから、大学執行部は廃止しようとして、保存派との間で議論が起っている(INYT)。●米=Cuba国交回復に際して、数十年前Cubaが接収した米国民財産の問題がある。精糖工場、石油精製工場から個人の家まで。古箪笥から黄色くなった証文を引っ張り出し、弁護士と相談している者もある。財産を残して米国に亡命し、米国民となった者の残留財産の問題もある。他方1999年、Cubaの裁判所は、禁輸措置などでCubaに加えた損害への賠償として1810億㌦の賠償金の支払を米国政府に命じた。政府系の放送局8337.5億㌦という数字を出している。Cubaは長年の援助者Venezuelaが破綻状態となって、財政困難に陥っており、ともかくも早く現金が欲しい、また米国の禁輸措置の解除も急いでいる。これには米国議会の同意が必要だが、これがなかなか困難だ。両国間の空路の再開も、Cubaは飛行機が米国で差し押さえられることを恐れている。どんぶり勘定になって誰も一銭も取れないという危険もある。「Cubaの請求など、国際法上の根拠がなく、まともに相手にする必要がない」と言っている者もある。やくざだった祖父がHavanaに残してきたhotelの賠償のことを言っている者もある(INYT)。●Venezuela:石油価格の暴落とともに、Chavismoは瓦解し、選挙でMaduro政権は惨敗した(INYT)。●フランス州議選第二回投票、右派連合(Sarkozy)40%、左派連合(Hollande)29%、FN(Le Pen)27%。本土12州のうち、右派連合7州、左派連合5州で第一党。FNはゼロ(毎日)。●Paris郊外の移民地区(banlieus)、選挙の投票率が非常に低い。親が投票しないから、次の世代も選挙に行く習慣がない。不満があれば銃に訴える(Celestine Bohlen)(INYT)。●Turkmenistan-Afghanistan-Pakistan-India(TAPI)を結ぶ天然ガスpipeline計画。日本・トルコが支援、総事業費は2兆円にもなるか。日揮、千代田化工、三菱商事、双日、伊藤忠のAll Japanが手がける。Afghanistanの治安など不安もある(日経)。●Afghanistan南部Helmandの政府軍はTalibanの攻勢を支えきれず、結局米軍が戻って来ている。2011年のpeakに14万人だったが、現在のNATO軍は13.1万人(INYT)。●浦志強弁護士の初公判。当局は記者・cameramen、外交官を暴力で排除した。米大使館員が現場で公平な裁判を求める声明を読み上げた(毎日)。●10月以来漂着した木造漁船14隻、遺体は31(毎日)。●自公両党は軽減税率の対象に定期購読の新聞を加えることに同意した(毎日)。●「仲畑川柳」「お兄ちゃん待っててボクも九歳に」(柏原のミミ)「試食してきっぱり断る妻でした」(大高正和)●「毎日俳壇」「日に一度海を見に行く冬帽子」(川口修)「裂帛の少女の声や寒稽古」(小林たけし)「松手入れ空すっきりとなりにけり」(かじもと浩章)「隙間風だらけで熱しテント劇」(野上卓)「露霜や子の名忘れし母見舞ふ」(山口照男)●「毎日歌壇」「高齢者となりて初回のクラス会医の周りに人が集る」(野上卓)「時代には逆行するがかたくなに伝承あそびを売る店開く」(宮田修)「石蕗の葉の上に立ち蟷螂はゴング鳴るのを待ってるような」(設楽久美子)「のろくてもいいではないか足跡をごらん雪の上にきれいに残れり」(佐久間仁子)
伝岩佐又兵衛「豊国祭礼図屏風」
地球を離れるはやぶさ2号(右上Australia、右下南極)
Dec.16, 2015
石垣綾子、上巻(1946年まで)読み終える。この時期の(私の研究対象としては)最左派。彼女は大正末期から左翼集団に属し、米国では中国支援・日本軍国主義批判活動を展開して、ある時期までは正統派であった。戦後も、(New Yorkに居て『偉大なる道』(朱徳伝)を書いていた)Agnes Smedleyなど、中共派と共闘。米国政治ではWallaceの支持で、44年大統領選挙の際副大統領候補を彼に代えてTrumanにしたところから反動化が始ったと見る。GrewもMacArthurも天皇制と日本反動派の保護者である。米国においては反ソ政策と赤狩りが進行する。夫栄太郎が共産党員だったこともあり、彼女もだんだん追いつめられる。大山郁夫がGrewの書いたPotsdam宣言を戦後日本のMagna Cartaと言っているのとは全然違う。憲法論でも、彼女の視野を取り入れることは重要だ。私は1982年秋、米国国会図書館で読み始めた軍の新聞Pacific Stars & Stripesで、成立したばかりの幣原内閣を反動として非難する彼女の論説から、米国親中共派知識人集団を発見したのだから、そして帰国後久我山の彼女の自宅を訪ねてinterviewもしたのだから、彼女との縁も深い。色々彼女の本をもっているはずだが、どこへ行ったか。自伝Resless Waveのcopyもどこかにあるはずだが(翻訳が出たらしいが買ってない)。そういえば西川氏がFreda Utleyの研究をしていて、本を頂戴している。彼女はこの親中共派集団からの反逆者である。▼K先生がnet論集「筺底拾遺」送って下さる。教育における主体性論への批判論説がある。私も知人との食事の際に、「主体性がないので」と相手に選ばせる習慣である。これも主体性金科玉条派に対する嫌味といえよう(彼女らは全然そんなことを意識しないが)。
[Benedict Andersonの死] 1936年昆明生れ。父はIrish、母は英国人。父は中国政府に代って関税を徴収する税関吏。家族は1941年California、45年Irelandに移り、57年Cambridge大卒。それからCornellで学び、大学院生時代Suhartoの大虐殺で著書。Indonesia語、Java語、Thai語、Tagalog語に堪能で、Vietnam戦争の衝撃や、Vietnam、Cambodia、Chinaという共産国家間の対立などからnationalismに関心をもった。2002年に引退するまで同大学教授。学説: liberalもMarxistもnationalismの強さを認識しないが、実際は強い。しかしnationalismは大思想家を生み出さない。Hobbes、Tocqueville、Marx、Weberのような人物はnationalismにはいない。nationは大勢の知らない人々との集団で、「想像上のもの」(imagined)ではあるが、しかし心の底から信奉する対象となり、人々はそのために殺したり死んだりする。nationalismの前提はEuropeで作られたが、実際に始まったのは18世紀後半の西半球(米国・Brazil・Spain植民地)であった。
[新聞] Galapagosの亀Lonesome Georgeは絶滅したと思われていたが、亀の寿命は150年もあり、別の島で生き延びてきた亀がDNA鑑定の結果その近親らしいことが分った(INYT)。●今年の漢字は「安」、「家の中に女が居て平穏」(近時片々)(毎日夕刊)[『字統』祖先を祀る神廟に新しく嫁してきた婦を入れて祖霊に安寧を求める儀礼、と(p.11)。値段が「安い」というのは日本でしか通じない。「安価」などという中国語はない(今朝の青山浩子氏の文章に「日本では割高な有機米も、米国の大規模面積を生かして安価に提供すれば市場拡大の可能性はある」と(毎日)(廉価的」「不値銭的」などというらしい)]。●『源氏物語』さまざまな天気を驚くほど効果的かつ正確に使って話を展開させている(石井和子氏[気象予報士会元会長])(日経夕刊)。●南部藩の一戸から九戸まで、室町までは四戸もあったがなぜ消えたか?(毎日夕刊)。●「大統領に当選すると寿命が縮まる」とは本当か。1722-2015年間での17箇国の選挙を調べると、当選者は落選者より余命が2.7年短い(INYT)。●2015年にjournalistを拘束した数は中国が二年続けて一位。Egyptとトルコが急激に増加している(INYT)。●ざっと言えば、fascismとは極端なantionalismと民主主義軽蔑と暴力崇拝の混合物というようなものだが、最近Islamofascismという言葉が聞かれる。ISなどはnationalismではない。やはりFascismは特殊ヨーロッパ的現象として広く用い過ぎない方がいいのではないか(Geoffrey Wheatcroft)(INYT)。●Poland政府はAustriaのNobel賞女流作家Elfriede Jelinekの戯曲『死と乙女』をpornographicだとして上演を禁止した(INYT)。●Gorbachevはテロのついて「ソ連崩壊後西側諸国が『冷戦の勝者』として有頂天になり、米国が『唯一の超大国』として一極支配を強いた結果だ」と(毎日)。●女性差別に対する抵抗の象徴として「braを焼く」ということがあるらしい(INYT)。●Gallup十月調査、72%が小銃を所有する権利を規制すべきでない、と(毎日)。●米国内銃器数は09年に人口を超えた。13年人口3.17億、銃器3.57億。銃製造数09年560万丁、13年1090万丁(草野和彦記者)(毎日)。●銃犯罪は都会的。米国農村では銃が治安を乱すという発想が希薄(渡辺将人氏)(毎日)。●他国で過激派活動に参加した者の12人に一人は帰国後問題を起す。Syriaなどで過激派を鎮圧しても、terrorの危険はなくならない(Katrin Bennhold)(INYT)。●Saudiを中心に34箇国がIslam軍事同盟を結成。Iran, Iraq、Assad政権など不参加(毎日)。●毎日写真コンテスト総理大臣賞「落ちてたまるか!」(吉住牧人氏)[このあとどうなったんだ。怪我でもしたら、助けず写真を撮っていた吉住氏は非難されるだろう、など]。
落ちてたまるか!Lonesome George
●「仲畑川柳」「夢あって今流れ星待っている」(荻笑)「読みだすと止まらなくなる古新聞」(西幸子)「文春と新潮読みに医者へ行く」(寿々姫)「握手する二人が見てるのはカメラ」(ぼうちゃん)「赤ちゃんのあくびお花が咲きました」(秋山美智子)「バブル時に売っときゃあなとまだ思う」(鹿せんべ)「美人アナ俺がホメると貶す妻」(麦そよぐ)
Dec.17, 2015
石垣日記、下巻半分読む。戦時中は日本の反体制派は味方だから、夫妻も陸軍省やOSS(Office of Strategic Services)に協力していたが、戦後は左翼運動家は米国内的にも対中政策でも対日政策でも危険分子となる。FBIの捜査対象にもなり、電話盗聴の対象にもなっているかも知れない。他方親中共派知識人の会合に属し、また在紐(という言い方があるらしい)日本人groupの付き合いもある。日本から色々な人がやってくると接待やら通訳やら、色々なserviceがあり、藤田たきとか、当時耳にした色々な人物が登場する。人名索引も作るべきか。占領体制派に対する彼女の人物観察は鋭く辛辣で、こんな風に見られているとは、彼らは気付かなかったろう。この本を読んだことは、新しいperspectiveができて非常によかった。「がらんどう」のすぐそばに共産党の支部があり、党の関係者が買うような本が色々並んでいるが、これもその一つか。▼ひょいとネットで、鷲尾小彌太氏に妻の『革命幻想の解体過程』への言及があることに気づく。妻もネットの世界ではまだ生きている。▼何ということだ。騒ぎ立てて訂正したすぐそばで、間違えているなんて。送って来た第二刷『民主主義の本質と価値』p.108。(Celui qui délègue, abdiqueの délègueが délégueになっていたと騒ぎ立てて、やっと直ったのに)、(初刷から)abdiqueがabdiquéになっていた!植田氏・太田さんに平謝りのmail。▼石垣日記、読み終える。「悠」で夕食。Tさんに「今日何してたの」「本を読んでた」「何を」ということで『石垣日記』見せる。在日二世としての彼女の体験とも関わり、非常に関心をもつ。BuckもSmedleyも名前は知っている。Tさん自身の、母の引退、優秀な兄の現状不満など色々な話。▼斉藤司氏『田中休愚「民間省要」の基礎的研究』という11800円の著書拝受。最優先読書義務か。
[新聞] 考古学というけれども、第二次大戦の戦跡なども発掘の対象である。1960-70年頃は土器・石器・木器・鉄器・青銅器などが研究対象だったが、現在は土壌・花粉、古代人の排せつ物なども重要な研究対象である(菅谷文則氏)(日経夕刊)。●Chavezと密接な関係にあった警察の高官Nestor Reverolが、麻薬取引の容疑で米国検察の捜査対象となっている(Reuters-Japan Times)。●中央アフリカでIslam系が一方的に自治政府を宣言、分離独立を目指す、と(毎日)。●ItalyはMosul近郊に450人の軍を派遣。米軍と協力してダムをISから守る(毎日)。●人権事件など国際的関心を惹きそうな裁判に際して、私服の集団が裁判所前に現れて取材を妨害する。浦志強弁護士の時も現れた(AP-Japan Times)。●最高裁判決:夫婦同姓は合憲(女性裁判官3人は何れも違憲説)。再婚禁止期間100日以上は違憲(毎日)。最高裁は姓を変えさせられる不利益は通称使用が広まることである程度緩和されると言うが、通称が広まること自体が現実と法のgapを示している(毎日・余録)。●「仲畑川柳」「飲み食いが減って会費を下げた古稀」(高橋春雄)「ゴミを出し捨ててはゴミを出す人生」(安川修司)「載るまでは禁酒としたが限界だ」(損得大使)「保護色に隠れるためと襲うため」(宮本佳則)
赤ジャンパーの男が私服。記者の胸倉を捉えている黒帽子が考案(警察)黄色badgeが私服
Dec.18, 2015
石垣日記、昨夜読み終える。占領の過程が米国における親ソから反ソへ、反日から親日へのparadigm changeの時期であり、米国穏健liberalにとっては激変期ではないが、親ソ派にとっては大反革命期であった。石垣夫妻の受難はこの脈絡のものである。夫は鈍物の教条主義者だから、親ソ路線を貫いたのは理解できるが、彼女がそれにほぼ一貫したのは、中共支持者の人脈という以外には考えにくい。駒場のアメセン(アメリカ研究センター)には色々資料があるはずで、行ってみなければ。出版された日記は抄録だから、原物はどこにあるか。本間夫人の実家が帰国後の夫妻の面倒を見たのだから、私的資料のようなものもあるかも知れない。彼女が陸軍の何かに原稿を送り続けたというが、その媒体は何なのか。Pacific Stars & Stripesを途中までで読むのをやめたのは、失敗だったか。国会図書館にあるか。
[新聞] 2014年破損したTutankhamenの面がドイツの専門家Christian Eckmann等によって修復された(AFP-Japan Times)。●河南省洛陽で三角縁神獣鏡発見。西川寿勝氏が現地調査。小型で、銘文の構成などが異なるが、神獣像や笠松形の文様など共通点も多い。日本から渡った可能性もある、と(日経夕刊)。●英一蝶「見立業平涅槃図」(日経)[釈迦の涅槃に擬したもの。女ばかりが集る]。●Robert Kaganは「Hobbesの米国、Kantの欧州」と言ったが、北Africaの権威主義体制の崩壊から、欧州の「永遠平和」の調子が狂った(西川恵氏)(毎日)。●Jeb Bushは2003年にNRA(National Rifle Association)大会で、「我々の銃声は自由の響きである」と言った(INYT)。●Belgium:午後九時から午前五時までは警察も私宅に立ち入れないという法律の故に、Salah Abdeslamを取り逃がしたのではないか(INYT)。●米利上げ、対外債務をかかえるトルコ等に打撃。FitchはBrazilをBBB-からBB+に引き下げた。南アもBB+への転落の瀬戸際(日経)。●Putin記者会見:トルコとの合意は困難。Trumpは有能で、ロシアとの関係強化を望んでいる、と(日経)。●南アZuma大統領は、評判の良かったNene財務相を素人同然のRooyenに更迭、更にGordhanに更迭した。僅か四日間の出来事だが、GordhanはNeneの前の蔵相である(日経)。●来日中のJordanのJudeh外相は、「ISとの闘争にはIslam諸国が前線に立って戦わなければならない」と語った(毎日)。●Syrian Kurdsの支配地域はトルコ南部に接して東西に二分され、間に100kmの間隔があるが、ロシアがKurdsに軍事援助して両地域の統合を助けるならば、トルコには大打撃であろう(INYT)。●Turnbull首相の来日。Abbottより中国寄りといわれる新首相。捕鯨問題その他懸案がある(Japan Times)。●東北最大の炭鉱会社龍煤公司、10万人の人員整理計画。四月には給与欠配で鶴崗市でデモ。暴動の気配(INYT)。●Moranbong(牡丹峰)舞踊団の中国でのドタキャン。説①要人出席不足への不満、②演目についての対立、③中国が金正雲の水爆発言に反発、④中国紙が金正恩と踊子(処刑された)との情事を報じたこと(AP-Japan Times)。●日立製作所はイタリアの鉄道会社から二階建通勤車両を追加受注した(日経)。●三井物産・三井商事はSakharin IIの液化天然ガス工場建設に合意した(日経)。●中国は国際会議の場で、internetを支配する国家の主権という主張を押し通そうとしている(INYT)。●中国もdrone輸出に乗り出し、Iraq、Nigeria、Saudi Arabia、Pakistanなどに売っている。性能はまだまだだが、安い(INYT)。●中国は暗黒物質観測衛星打ち上げに成功した(毎日)。●噂と断りさえすれば何を書いてもいい訳ではない(毎日・社説)。●警察庁は捜査強化月間の11月と準備期間の10月に466人の手配容疑者を逮捕したと発表(日経夕刊)。●難民の申請は昨年5000人であったが、今年は十月末までに6160人である(Reuters Japan Times)。●法経商学部以外の文科系出身者にも立派な経営者は多い。大学は職業人たる基礎体力をつけさせる場である(鵠洋氏)(大機小機)(日経)。●Energie供給を確保するためには原発は不可欠である(安倍)(毎日夕刊)。●東京拘置所で二人の死刑囚の死刑執行(毎日夕刊)[津田寿美年(63)は貧相で弱々しい。根本において犯罪者は弱者だ]。●サルの顔をした蘭(dracula gigas)、京都の植物園で16日開花(Kyodo-Japan Times)。●中一弥氏、直木三十五、池波正太郎、山本周五郎、吉川英治らの時代小説に挿絵を描いた。10/27没、104歳(日経夕刊)。●「仲畑川柳」「断捨離の好きな妻居て身の危険」(繁本千秋)「拍手にも温度差あると知った宴」(荒川淳)「一休みしたらどうかと風景画」(お鶴)
Dec.19, 2015
石垣『回想のSmedley』読み始める。中国共産党・毛沢東・朱徳・周恩来・Smedley等は美しい心の聖域で、信仰の対象として、認識の対象にしないという態度。以前も読みかけてやめたようだ。ざっとfactualな部分だけ眼を通すか。高度の知性の持主が、荒唐無稽な共産圏観を守り通した秘訣。そのことを具体的に観察するだけでも意味があるか。▼「序論」の部分が朗々とし過ぎていてそういう印象をもったが、Agnesの伝記は事実に即して、印象深い。彼女の二番目の夫がStalinismの犠牲者らしく、社会主義は理想化しているが、現実のソ連には一定の距離をとっている。資本主義が諸悪の根源だというのは、当時の左翼知識人共通のdogmaであろう。▼数日前、平山朝治氏より憲法論の著書拝受。次に読むか。▼仲津真治氏の「杉原千畝」鑑賞記。日本映画なのに大体英語で進行する、と。
[新聞] 長岡京発掘に生涯を捧げた中山修一氏(1915-97)生誕百年記念講演会。「家庭人としては平均以下。家にお金を入れず、母の給料に手をつけた。いい所もあったんだろう」(長男忠彦氏)(日経夕刊)。●大石内蔵助の晩酌は柚子をきざみ、みそと合わせてすったものに柿の肉を加えて作った柚子みその一品だった(毎日・余録)。●B52が中国人工島12海里以内を飛行(日経夕刊)。●民主主義や自由主義はロシアを弱体化させる西側の陰謀との見方が根強い(杉尾直哉記者)(毎日)。●安倍=Turnbull、南シナ海での威圧的・一方的行動に強く反対を表明(日経)。●最近の調査:蔡英文45%、朱立倫22%、宋楚瑜10%(毎日)。●硫黄島で東京都主催の戦没者追悼式、戦死者の孫が「もう二度とばかげた戦いをしないよう、全力を尽くします」と誓った(毎日夕刊)[最近戦争画「馬鹿げている」という発言が屡々あるが、「馬鹿げた」という形容詞は不適切だろう]。●トヨタは配偶者控除を廃止し、妻の収入に関係なく子供手当に変更する(岩田喜美枝氏)(毎日)。●「仲畑川柳」「このお乳吸ってた子らが口答え」(石橋勤)「今までの経験全て万柳(これ)のため」(老婆の休日)「外国語単位だけ取りそのまんま」(大西雅風)[「ケスクセ」だけ覚えているAさん]「食べ方に性格が出るとうもろこし」(柏原のミミ)「恩人がおんなじ部署にいるウザさ」(舞蹴釈尊)
Dec.20, 2015
『Smedley』、早くちゃんと読めばよかった。綾子自伝でもある。彼女の左翼運動に困惑した父が、外交官と結婚した姉輝子がWashingtonに赴く機会に、連れて行かせるのだが、(大山郁夫を通じて)Marx経済学者猪俣津南雄に紹介されたproletariat画家石垣栄太郎と恋愛してNew Yorkで同居を始めたことはRestless Waveに書かれている。やがてその義兄はSan Francisco総領事になっていて、彼女の「反日活動」に困惑し、副領事を派遣して、転向表明の書物を出せと脅迫する。応じなければ「売春婦」として告発し、送還処分に持ちこむという。同席した夫の栄太郎が猛反発し、「米国の支援者たちと結んで告発campaignを張る」と反撃、立ち消えになる。義兄の名は佐藤敏人、脅迫に来た副総領事は稲垣一吉と実名まで書いてある。調べると、佐藤敏人氏は1891年熊本生れ、1916年東大卒、駐米大使館書記官、Los Angeles領事、外務省情報部第一課長、駐英大使館一等書記官、San Francisco総領事、Königsberg総領事、駐ソ連大使館参事官、終連和歌山事務局長、NHK国際局次長、衆議院外務委員会専門員。稲垣一吉は1910年岐阜県生れ、34年東大卒、New York領事館補、San Francisco副領事、同領事、本省政務局事務官、Mexico公使館三等書記官、以下諸官職を経て戦後に至り、情報課長、連絡部副部長、為替管理委員会事務局長とある。彼女によれば、外務省枢軸派に属し、副領事の肩書とは別に、情報集めの特別任務をもっていた。戦後アメリカ局次長になり、在職中癌で死亡した(p.159)。
[塩野七生氏] Islam諸国は中産階級を作れないから民主制が成立しない。首相が一年おきに交代するのは絶対にいけない。安倍政権はともかく安定している(日経)。
[読書欄] 村瀬信一『帝国議会』
[新聞] 理化研teamは気管支表面の細胞が這うように動いて特定の場所に集る様子の撮影に、mouse実験で成功した(日経)。●人間やChimpanzeeはウマより小さな違いを区別できる。人間は他の動物より細部の違いを区別しつつ全体に注目する(松沢哲郎氏)(日経)。●有田孫右衛門は天正2(1574)年熊本の八代から蜜柑を移植したとされてきたが、紀州にはそれ以前から蜜柑はあり、孫右衛門は接ぎ木したのではないか(野瀬泰申氏)(日経)(『玉勝間』で宣長は、昔の柑子に比べて今の蜜柑はずっと美味だと言っているが、これによるか)。●織田信長の甥信澄が、天正6(1578)年琵琶湖畔に築いた大溝城遺跡で船着き場と見られる石垣が見つかった。信澄は光秀の娘婿、本能寺の変(1582)の後攻められて自害。大溝城は廃城となった(日経)。●三井のお荷物であった呉服店を独立させ、外国の百貨店をmodelに三越を育てた日比翁助(日経・春秋)。●国防相顧問Michael Pillsbury、「米中のpipe、日本は知らされていない。次期大統領は選挙中は中国を攻撃するが、就任後CIAから秘密協力の実態を知らされ、軌道を修正する」と(秋田浩之氏)(日経)。●1994年のMexico、97年のIndonesia、韓国。危機は米利上げ後に生じた(日経)。●ロシアの今年-4%、来年もマイナス、しかしPutin支持率は八割を超える。理由は軍事力、世界への影響力(日経)。●トルコ南部Sirnak県等で行われた対Kurds掃討戦で、トルコ軍はPKK(Kurd労働者党)戦闘員68人を殺害。トルコ側死者は2名(日経)。●中国の協力でタイを縦断する鉄道新線の起工式(日経)。●新規国債34.4兆円、8年ぶりの低水準、国債依存率35.6%は9年ぶりの低水準(日経)。●「政府が露骨な『アメ』を出せば出すほど反発がひろがる」(沖縄県議)(毎日)。●障害のある子は体験が少ない。海を知らない子が7割もいた(毎日・余録)。●Kurt Mazur死去(88)(日経)[妻と一緒にBerlinでBerlin Philの指揮を聴いたことがある]。●「日経俳壇」「避難者の集ふ真央の大焚火」(渡部健)●「日経歌壇」「天心の月に小さき影踏んで夜間中学の門扉を閉じる」(近藤吉廣)●「仲畑川柳」「いつ食うとペットのチャボを見て訊かれ」(宮司孝男)「金払う上司の姿美しい」(伊藤昌之)「高齢者70からにすれば減る」(影無)「また例の話で笑うOB会」(雷作)●「サラ川」「茶柱の湯のみ妻へとそっと替え」●「脳トレ」「スカートがとまってるあたりくびれかな」(井上敬子(77))「お隣りの姑の逝き方ほめる嫁」(吉川純太(76))「この川にメダカもいたし母もいた」(水谷良(92))「啄木鳥(きつつき)に脳震盪を案ずる子」(老足(84))「屁をしてもげっぷをしてもただ一人」(守安雄介(71))「洗ってて聞こえないわよアッカンベー」(ふと子(61))「蹴躓き咄嗟に掴む余所の夫」(藤田志津恵(72))
Dec.21, 20157
どういうものか、今日は俳句・短歌・川柳、いいものが多い。答案採点の時、いい答案が続く時と悪いのが続く時があるが、あれは本当にそういう答案が並んでいるのか、こっちの気分が投影しているのか、と思うことがある。短詩文学でもそういうことがあるか。旧仮名か新仮名か、ある言葉を漢字で書いているか仮名か、どの漢字か(「われ」か「我」か「吾」かなど)、書き写しにはそれなりに注意している。今日の林曻氏の短歌は現役時代、俳句は定年後の心境。野上氏と同様「両刀遣い」。いい齢をして毎週載ったか載らないかで胸をときめかせるのは、脳の老化を防止するだろう。「曻」という字をパソコンで探すのは難しく、長い間、片岡曻という労働法学者がいたので、「労働法・片岡」と引いていた(片岡曻『現代労働法の展開』というようなsiteから「曻」という字を拾う)。やがて「のぼる」で出てくることに気づく。おなじみの作家たちの名を探すのは楽しみだが、高岡の池田典恵さん、病気の作品があってからみかけなくなり、心配している。短歌・川柳の「両刀遣い」山上秋恵さんも時々病気の作品が載る。小川氏の作品はJonahの物語。Jonahが鯨の腹の中で運ばれていったNinevehはMosulの近く、ISなどによって遺跡が破壊されている。鯨が河を逆流したのか。
[新聞] 平幹二朗、Euripides, Medeiaを上演。「赦しのない女の悲劇」と(毎日夕刊)[佐久間さんのこと?]。●興福寺で僧坊・経蔵などの遺構発掘(日経)。●豪商加島屋の資料一万点橿原市旧家の蔵で発見された。加島家は上質米の黒田藩に接近を図った。加島家は大同生命の祖で、資料は阪大に寄託されているが、今度の資料は神戸大で解読が進められている(日経)。●populistsは一点突破的な主張を掲げ、それさえ実現すればすべてはバラ色と説く。反論すれば「現にうまくいってないではないか」と言う(日経・社説)。●African Americansの子はrootsめぐりとしてGhanaに修学旅行、男子は必ず太鼓を買う(西原理恵子氏)(毎日)。●ロシア空軍Syria北西部Idlibを空爆、死者50人、負傷者170人(毎日夕刊)。●Iranの旱魃(INYT)。●日印原子力協定、間接にインドの核武装を促進する。Pakistanとの関係(山田孝男氏)(毎日)。●文科省の人文科学系学部廃止通知、「文科省はその意でないことを示し、私も安堵した」(奥正之氏)(日経夕刊)[「示し」たかどうか。安堵などすべきでない。中級下級官僚の規律とサービス業の職業倫理を研究者におしつけて、時間とEnergieを蚕食し続けている]。●Tibetの騎馬祭、漢族が我が物顔にふるまい、Tibet人はシーンとしている。伝統的祭典は中国に乗っ取られた(INYT)。●もともとNHKの選挙報道を念頭に置いていた放送法の「政治的公平原則」が一般的番組規律とされ、しかも政府の一方的解釈によって量的に平等に取り上げることを強制される制度に変質した(毎日)。●銀座で一万円札を小さく折りたたんで社会鍋に入れる年配の女性がいた。名前が紹介されるわけではない。税金の控除もない(毎日・余録)。●寺の息子、学校には檀家の子もおり、ふるまいに気をつけよと言われた。私立中学に進学して解放感でいっぱいだった(釈徹宗氏)(毎日)。●「毎日俳壇」「風のなきこと見定めて一葉落つ」(曲直瀬弘子)「好きなだけ捥いで帰れと柿長者」(小林恕水)「何もなき沖を見ている冬帽子」(笹沼實)「もてあそぶ胡桃の音をたなごころ」(後藤啓之)「鈴生りの柿が空き家の塀の上」(永田トシ子)「北窓を塞ぎてそこに江戸古地図」(清水志)「ホームまで大根干されて峡の駅」(葉山芳一)「今川焼受けて釣り銭あたたかし」(高橋暢)「機上より海を見ている開戦日」(吉田かずや)「焼いているものの匂へり浜小春」(中村立身)「洛外は止み洛中の時雨かな」(林曻)「冬蝶のうすき夕日にさまよへる」(北河覚)「くしゃみした顔が母似の赤子かな」(渡辺哲也)「抱き上げてあばれる鯉や池普請」(萩原行博)●「毎日歌壇」「努めにし部員も泣かされたる者も組織のわれを支へくれしか」(内田正俊)「千の田の保存作業の人たちも昼餉はひとつところに集ふ」(植村美穂子)「敗戦後七十年の六割を企業戦士として生き抜ける」(林曻)「寒い朝金柑ちぎるわれを見て抗議するかな小鳥ら騒ぐ」(仲雅則)「蟷螂は鎌振り上げる力失せ眼きらきら吾を睨みたり」(深澤昇)「問い詰める妻に難なく言い訳が不意に浮かびて胸なでおろす」(高尾山昭)「泣いてるね泣きたいんだね余裕ある祖母となりたるわれいとおかし」(村岡美知子)「明日からの心機一転誓う夜は胎児のかたちでベッドに潜る」(風花雫)「君くれし電気ストーブ赤々と不在の今も吾を暖む」(加藤裕子)「写真帳に直立不動水兵の父休まれよ帽子を脱ぎて」(下川佳子)「来年は優しい嘘をつきながらクジラの中で昼寝をしよう」(小川秀)●「仲畑川柳」「待ち合わせみたいな猫もいる境内」(恋し川)「この服はオバサンみたいと言うオバサン」(カトンボ)「両方の長所をなくす妥協案」(宮本佳則)「大声でSかMかと訊く店員」(新橋裏通り)「マニキュアが家事は苦手と言っている」(京の柳)「静かだな病床で聞く遠花火」(英智郎)「ピカソよりのびのびしてる園児の絵」(焦点外)
Dec.22, 2015
『回想のSmedley』読み終える。中国共産党への夢が美しかった頃のこと。▼今朝のJapan TimesにPete Seeger(1919-2014)のことが出ている。左翼運動に生涯を捧げた歌手。妻が日本人二世のToshi Ohta Seeger(1922-2013)。夫婦でNew Yorkで活躍。石垣夫妻と知り合いでないはずはないが、日記や自伝に出て来たか、覚えていない。SeegerがStalinismの実態を知ってソ連支持を撤回したからか。トシの祖父や父も左翼運動家で、Marxの翻訳をして亡命したとかいうのだが、恐らくpen nameで発表しているだろうから、調べるのは難しいか。『日本社会運動人名辞典』の「太田」の項目には出て来ない。▼『石垣日記』(下)p.156でSeeger夫妻、トシの父親太田タカシが登場(6/10/50)。「久しぶりに」太田タカシを訪問した、と。見落としたのか。『日記』は抄録だから、収録されていないのだろう。人名索引を作りたいが、余生短く・・・。▼こんなことをしている段階ではないのだが、やはり人名索引を作りたくなって、上巻50頁まで。やはりSeegerや妻のToshi、妻の父の太田タカシ、色々出てくる。トシが綾子の出国が認められないことを心配してByrnes国務長官の姉と会ってみるとか(p.51)。本は丁寧に読まずに勝手に憶測したりしてはいけないのだ。▼編集者から進捗状況を問い合わせてくる。ちっとも進んでいない。
若き日のSeeger夫妻
[新聞] およそプロの万葉学者なら座右の書とするのが佐々木信綱『校本万葉集』と沢瀉久孝『万葉集注釈』、合わせて30巻を超す(上野誠氏)(日経)[ヘーン]。●杉原千畝が発行した旅券の寄贈を受けた岐阜県八百津町、そこに書き込まれた手書きは英独仏やLithuania語など10箇国語。その解読を委託された獨協大山路朝彦氏、同僚と協力して解読した(毎日)。●ロシアはSyriaで反体制派に対しcluster爆弾を大量に使用している(毎日)。●民間に委ねるべき投資行動に中央銀行が影響を与えようとするのは間違いだ。政府の政策的思惑から独立した存在という、中央銀行のあるべき姿にも反する(毎日・社説)。●外国為替資金特別会計にたまっている20兆円が製作に使えるのではないか(夢風氏)(大機小機)(日経)。●母親が子供に「こうしせんが通ってる」と言っていた。子午線を子牛線と間違えたのだ(井上毅氏)(日経)。●「仲畑川柳」「TPP知らぬ牛らのつぶらな瞳」(佐藤庸子)「息止めてレコード針を降ろした日」(美酒乱々)「バラ買って急いで帰りゃ妻は留守」(青柳茂夫)「遣うのは一つか二つベルト穴」(イヂロー)
Dec.23, 2015
Marx主義の章を設けるとして、どのように、どのくらい扱うかは問題だ。やくざの喧嘩ではないから、重傷を負った相手を更に殴ったり蹴ったりするする気はない。ひさしぶりに石垣綾子さんにもめぐり合ったことだし。こういうタイプの女性を私は好きなのだ。学生運動に身を投じ、マルクス経済学を専攻した妻にも似たところもある。▼MarxとEngelsの異同、Engelsの引用によってMarxismを論ずることがどのくらい可能か。Democritosに加えたEpicourosの修正、「弁証法的」唯物論ということの意味。物理学者益川氏が依然『自然弁証法』を信奉していることの意味。「世界を変える」(Thesen über Feuerbach)ことは自由意志を含意するだろう。「労働」は創造的行為だろう。階級社会・資本主義経済の決定論的性格は、人間疎外の産物であって、「本来の人間」は自由意志の担い手である。解放され、自由となった未来人による理想郷。観念論的理想主義者Marx、「科学性」は表面に過ぎない。その幻想の現代への顕現としてソ連があり、中国がある。河上肇とか石垣さんとか、純情可憐な幻視者たちがいた。▼「超」と「越」の異同。「超」は地面・水面を離れて上にある、越は地面に接していると思っていたが、必ずしもそうでもないようだ。『字統』によると「越」は「度(わた)る」を意味し、「超」は隔絶性を要素とする、と。基本的には私の直観が当っており、日本の通俗の用語法において混淆が見られるということではないか。▼仲津真治氏が遠藤誉『毛沢東』を詳細に紹介している。。「毛は蒋介石を日本軍に潰させた」という筋書きを史料的に裏付けたもの。『私も買ってあるのだが、今すぐには読めないので概要の紹介は有難い。『チャーズ』を読んで以来私は彼女のfanで、高橋満氏が紹介して下さると言っていたのに機会を逸して残念だ。▼人名索引少し。スノウ夫人(ペジー・スノウ)(p.54)とあるのは間違いではないか。Edgar Snowは1949年Helen Foster(Nym Wales)と離婚、再婚相手はLois Wheelerである。
[新聞] 象の集団では祖母の果たす役割が大きい。彼女が密猟者に殺されたりすると、群は混乱するが、別の大人のメスが統合者の役割を果す(INYT)。●南西中国で発見された14000年前の人骨は、150万年前のhomo erectusやhomo habilisの特徴を残している(INYT)。●明治元勲の写真収集家倉持基氏(日経)。●site visitors数でWashington PostがNew York Timesを抜いた(日経)。●今年欧州諸国に流入した難民・移民は100万人を超えた(日経)。●IHI 60%、Myanmar政府40%出資のconcrete工場建設、2016年1月着工、秋に生産開始。Bangla Desh、インドでも受注(日経)。●Yangon経済大学Aeon Group奨学金、20人中18人を女性が占めた(日経)。●浦志強氏執行猶予付き有罪判決。国際社会の批判をかわしつつ圧力を維持する狙い(毎日)。●処分場には連日数百回も土砂運びの大型車が往来、午前3-4時まで続いたこともあり、住民と頻繁に口論になっていた。処分場と地元当局の癒着(毎日)。●Düsseldorfの日本人街、気が付いたら中華街になっていた(日経)。●中国企業の「走出去(海外に打って出る)」戦略:中国中鉄がHungaryをSerbiaを結ぶ鉄道建設事業の一部を落札した。中国国家電力投資集団がAustraliaの発電大手を買収する(日経)。●総合物流のセンコー、中国で食品の低温物流網つくりに乗り出す(日経)。●大西仁氏、「父母は戦争中この街(長春)で暮らした」と言うと、韓冬雪氏は古地図を頼りに一緒に探してくれた(日経)。●韓国検察は加藤達也氏への控訴を断念(日経)。●世論調査内閣支持40%、不支持39%。政党支持自民35%、民主8%、公明・おおさか4%、共産3%、維新・社民・生活・新党改革1%。九条一項改正すべき17%、すべきでない46%。憲法の果たした役割役だった86%。原発増やす4%、現状維持30%、減らす39%、なくす25%。天皇親しみ65%。関係を深めていくべき国 米54%、東南アジア19%、中国7%、ヨーロッパ6%、韓国・インド2%、ロシア1%。日米安保強化13%、現状維持58%、将来廃止11%、即時廃止2%。●財政健全化のためには名目成長率が長期金利を上回る必要があるが、まあ不可能だろう(日経)。●鳥を見て、「ああ、空を飛べたらいいな」と考えた連中が飛行機を作り出した(中村秀明氏)(毎日)。●「仲畑川柳」「大掃除せんでも年は越せまっせ」(荻笑)「明けぬのに明けましてと書く面映ゆさ」(北の夢)「なんだかだつぶやきながら書く賀状」(八重根隆)
Dec.24, 2015
Marxismの全体像の描き方、色々考える。「本来の人間」と「階級社会の人間」の二元性。Marxの「科学性」はもっぱら後者に関わり、前者は観念論的・宗教的理想主義そのものである。Marx主義憲法学や教育学は前者にのみ関わる。歴史発展段階説の資本主義滅亡から先も同様である。日本社会党も「資本主義の後に必然的に社会主義が来る」というドグマを信ずることによって、realismを喪失した。▼この論旨に従って書き始めようとしているのだが、(それほど自覚してこなかったが)どうも最近脳の老化が進行している感がある。六年前に書いた『ケルゼン著作集』第二巻「マルクス主義批判」「あとがき」を読み直してみると、こういう文章はもう書けないのではないかという印象を受ける。▼書庫で黒滝ツトム『つながれたニッポン』(1952)という本を発見して少し読む。親ソ反米の執念。Olympicのmedal、ソ連の方が多いのも体制の優位だ、などと。戦中反米右翼から戦後反米左翼に転向したか。外国固有名詞の表記が独特で、在外が長い人物かとも思うが、分らない。米国史に関しては相当の物知りで、フィリピン領有の経緯など、再考させられるところがある。1907年生れで終戦の時38か。それ以前の研究歴があると思うが、分らない。民科・日教組に関わり、言語教育の著書もある。
[新聞] 地球と流星が衝突して災害を惹起する危険、従来は火星と木星の間の小惑星帯起源のものに関心を集中していたが、超楕円軌道で海王星・天王星・土星・木星を通って地球に接近するものもある。大災害の危険もあるが、予知は困難である(AFP-Japan Times)。●公開された資料によると、1923年暴動でLandsberg刑務所に拘禁されたHitlerは特別待遇を受けていてbeerも飲めた。虐待された左翼とは大違いだった(AP-Japan Times)。●TodorovichとRosenstockにpianoを習った。戦争中、concoursは「音楽顕彰」、pianoは「洋琴」、violinは「提琴」と言い換えられた(寺西昭子氏)(毎日夕刊)[Todorovichが誰だか分らない]。●20世紀、中欧の悲劇。1948年Prag、Masaryk外相の変死(明らかにソ連に殺された)(毎日夕刊)。●米公文書館が公開した1959年の資料:核攻撃の標的、Moscow 179箇所、Leningrad 145箇所、East Berlin 91箇所など(INYT)。●New YorkのBlasio市長は先週からhomeless対策に本格的に乗り出した。しかしこの問題は多頭の怪物(hydra)であって、成功するかどうか不明。現在同市のsheltersに60000人がいる(INYT)。●Spain選挙、緊縮疲れから反緊縮Podemos(=we can)党躍進(INYT)。●12月9-20日にMacedoniaからギリシャに入国した難民のうち大人の男性は46%、女性は22%、保護者つきの子供が35%、孤児が1.5%(INYT)。●ギリシャの難民流入口は理想と現実が衝突する場であり、EU諸国が相互を信頼し合ったいるか否かの試金石である(INYT)。●Amnesty Internationalによれば、ロシアのSyria攻撃は幾百人の非戦闘員を殺害し、住宅・寺院・市場・病院などを爆撃しており、戦争犯罪である(Reuters-Japan Times)。●IraqのBaath党派世俗主義で、1968年のcoup d'étatで政権を奪取した時はSaddam Husseinも確固たる世俗派であった。1980年対Iran戦争が始るとともにIslam化が始り、対内政治的事情からもShia派のIranとの対立からも過激化していった。その後身がISである(INYT)。●5月にISに占拠されたRamadiをIraq政府軍とSunni派部隊が協力して奪回しようとしている(INYT)。●米国はSaudi Arabia主導のHouthi軍掃討作戦を支援してきたが、2700人以上の非戦闘員が死亡し、数十の学校や病院が爆撃され、国連の批判を受けて困惑している(INYT)。●Afghan減産heroin東Africaに流入、al-Shabaab関与か(毎日)。●L'Obs誌特派員Ursula Gauthier氏が中国のUighur抑圧を批判したため国外退去を迫られている(INYT)。●天津で大気汚染「赤色警報」(毎日)。●大学の軍事研究。軍事にも利用されうるdual useという形で増え続けている(毎日夕刊)。●「仲畑川柳」「キスチョコをひとりで舐めるイヴの夜」(お鶴)「年内に売れなきゃこれも福袋」(小把瑠都)
Dec.25, 2015
『つながれたニッポン』読み終える。占領終了時における親ソ派思想の体系的展開で、相当の情報収集力をもち、諸外国の新聞やChicagoの日系人新聞『シカゴ新報』、Nippon Timesなど様々な資料を渉猟しており、茨城で農民解放にうちこんできただけの人物の作品とも思えない。Mark GaynやRobert Textorの占領批判を広汎に引用している。Lattimoreも。引用文献:宮本百合子『平和のまもり』小倉豊文『絶後の記録』今村得之・大森実『ヒロシマの緑の芽』岡倉古志郎『日本再軍備』南博『人間の方向』菅原憲『米国最近世史』プレブス・リーグ『経済地理概論』楢橋渡『新憲法製造記』大宅壮一『一億囚人』MacMahon Ball, Japan: Enemy or Ally?Boris Kurganov, Americans in Japan.▼関連文献を渉猟しているうちに、終戦直後の中国journalismの対日論説を研究したAdam Catchcart, URBAN CHINESE PERSPECTIVES ON THE U.S. OCCUPATION OF JAPAN, 1945-1947という論文を見つける。「MacArthurは日本人の表面的従順に欺されている」という全体的傾向のようだが、これが「本当に日米が中国敵視で和解した」という観察に連なるというのだろう。▼神谷不二『朝鮮戦争と私-研究を回顧して-』を読む。朝鮮戦争が北の侵略に始まったことにつき、進歩的文化人が事実を歪めるかタブーにし続けたのは卑怯だと指摘している。今読んでいる黒滝の本など、事実歪曲の先兵である。▼Xさん、partnerを癌で亡くしたと年賀欠礼。彼女も苦難の人生と聞いていたが。